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JTCOメルマガ『風物使』

2010年10月06日 配信
「秋の夜露に菊香る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』寒露号

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  「秋の夜露に菊香る」~ 季節の使い・JTCO『風物使』寒露号
     vol.8 2010年10月6日発行(旧暦 8月29日・葉月)

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拝啓
朝晩はグッと冷え込む日もあり、布団や衣類の入れ替えが必要になり始めた
今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今号が「寒露」というように、もう秋も本番です。気候の変化に気をつけな
がら、軽やかな空気と、美味しい食べ物を楽しみましょう。


+‥‥+ 2010年寒露号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・季節の祭り…………… おめでたい数の重なる日:『おくんち』
 ・旬の味………………… もともとは薬草です:『キク(菊)』
 ・季節の花……………… 菊の御紋はどこから?:『キク(菊)』
 ・JTCOからのお知らせ… 聞香(お香)講座 第2期・10月開講!
 ・編集後記


○o 季 節 の 祭 り ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


おめでたい数の重なる日:『おくんち』

今年も、日本各地で秋祭りがたけなわです。九州北部で行われる秋祭りは、
「長崎くんち」に代表されるように「くんち」または「おくんち」と呼ばれ
ますが、これは漢字で書くと「御九日」となり、もともとは旧暦9月9日のこ
とです。

旧暦の9月は作物の収穫月だったことから、かつて9月9日、19日、29日は
「三九日(さんくにち)」と呼ばれ、これらの日にキクの花を供えたり、餅
や赤飯をつくって収穫を祝ったのだそうです。

ところで、なぜ「9」のつく日にお祝いをするのでしょうか?それは、古代
中国の陰陽五行説で奇数(=「陽数」)は縁起がよい数とされており、その
中でもっとも大きい「9」という数が、とりわけ重んじられてきたからなの
です。
9月9日は、この「9」が2つ重なることから、中国では「重陽」として、大変
おめでたい日とされました。重陽の節供には、キクの露を飲んで不老不死に
なったという故事にあやかろうと、キクの花を飾ったり、菊酒を飲み交わし
て長寿と健康を祝うようになりました。

この行事が奈良時代に日本に伝わり、平安時代の宮中では「菊花の宴」でキ
クを浮かべた酒が振舞われたり、「菊の被綿(きせわた)」といって、重陽
の前夜にキクに綿を着せ、9日の朝に若さと美しさを願って、その綿で身を
清めるという行事が盛んに行われました。効果のほどはさておき、高貴なキ
クの露と香りをたっぷり含んだ綿で身体を拭えば、なんとなくきれいになれ
そうな気がしますね。

江戸時代には、幕府が重陽の節供を五節供に定めたこともあり、菊酒を酌み
交わしたり、キクの鑑賞会や品評会が盛んに行われていたそうです。これが
しだいに民間にも拡がり、収穫を感謝するための「おくんち」になったとい
うことです。

新暦の9月9日はキクの時期ではないため、明治以降、残念ながら重陽の節供
を祝う習慣はなくなってしまいました。秋祭りとなった現代の華やかな「お
くんち」とともに、深まる秋の中、永遠の若さを願ってしっとりとキクを楽
しんでみるのもいいですね。10月から11月にかけて、各地で菊まつりも開か
れますので、ぜひ出かけてみてください。



○o 旬 の 味  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


もともとは薬草です:『キク(菊)』

重陽の節供には欠かせなかったキクの花。原産地の中国では、紀元前から霊
薬としてキクが栽培されていたとされ、その効能からすると、不老長寿の薬
と考えられてきたのも、あながち迷信とは言えないのかもしれません。

キクに含まれる栄養素は、神経系や皮膚を健康に保つビタミンB群や老化を
防ぐビタミンE、代謝や抗酸化を助けるマンガンや血圧を下げるカリウムな
どのミネラルなどです。民間療法では、疲れ目や高血圧症状の改善などに
利用されてきましたが、これらの効能は、このような栄養素のはたらきに
よるものと考えられます。

また漢方では、悪寒や発熱といった風邪の症状にも利用されますが、これは
キクの花に鎮痛解熱作用や解毒作用があるとされているためです。最近では、
菊花エキスが生体内解毒物質のひとつであるグルタチオンという物質の量を
増やすという研究結果も出ているそうです(株式会社ポーラの研究資料よ
り)。http://www.pola.co.jp/company/home/back/2008/20r061.pdf

西洋のハーブとしてよく知られているものにカモミールがありますが、これ
はカミツレ菊とも言われるように、キク科の植物でやはり鎮静・鎮痛・精神
安定などの効果があります。洋の東西を問わず、昔からキクは薬用植物とし
て人の生活とともにあったのですね。

日本の食用菊は、黄色い青森産の阿房宮(あぼうきゅう)や、淡い紅紫色を
した新潟・山形産の延命楽(えんめいらく、別名「もってのほか」)が有名
です。酢の物やおひたし、てんぷらなど、幅広い料理に使えますので、秋の
食卓の彩りに添えてみてください。


▼食用菊としめじのおろし和え(山形県)
食用菊生産量No.1の山形県の郷土料理です。
http://www.piconet.co.jp/magazine/recipe/237.html



○o 季 節 の 花 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

菊の御紋はどこから?:『キク(菊)』

「思い出よ まがきの菊も折々は うつろひはてし 秋の契りを」
(後鳥羽上皇『後鳥羽院御集』 998)

(垣根に咲いていた菊のことも、時々は思い出してください。あの秋の約束
が、変わり果ててしまったのだとしても。)

春はサクラ、秋はキク。これらは紛れもなく日本を象徴する花になっていま
すが、前述のとおり、キクは日本原産の花ではなく、中国から伝えられた花
です。日本にはノギクは自生しているのですが、万葉集には「キク」という
語は見られず、そのころはノギクのことを「百代草(ももよぐさ)」と呼んで
いたようです。

菊の御紋と言えば、言うまでもなく日本皇室の紋章ですね。ですが、日本に
はもともとキクがなかったわけですから、上古からそうだったわけではあり
ません。菊が皇室の紋章として使われ始めるきっかけを作ったのは、平安末
期~鎌倉初期の後鳥羽上皇で、自身が大変キクを愛しており、身の回りのも
のに菊の紋章を施したことが、その始まりと言われています。

後鳥羽上皇は、冒頭の歌のようによくキクの歌を詠みました。その多くで、
キクは移ろいやすいものの象徴として詠われています。平安時代の初め頃に
活躍した歌人、紀貫之も同じようにキクを無常の人生のたとえとして詠って
いますから、キクの色が時間とともに変わっていくことが、そのころの人々
の「もののあはれ」に触れたのでしょうね。

皇室の紋章として菊の意匠が正式に定められたのは意外に新しく、明治2年
のことでした。天皇家には十六花弁の八重表菊、皇族には十四花弁の裏菊が
定められています。

「うれしくも 我が代を祝ふここちして 園生(そのふ)の菊ぞ かをりそ
めたる」(大正天皇)

(今年も庭の菊が芳しく香り始めました。うれしくも、まるで私の治世を祝
うかのように。)

平安時代の人々が詠んだ哀愁とは打って変わって、大正天皇はこのように庭
に咲き誇るキクの花を治世の賛歌として詠んでいます。万葉の時代、ノギク
が「百代草」と呼ばれていたように、大正天皇の御心には、キクの芳香が永
遠の世へいざなうものと感じられたのでしょうか。


○o JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……

聞香(お香)講座 第2期・10月開講!

去る6月~8月の3ヶ月にわたり、好評のうちに終了いたしました聞香講座の
第2期が、10月7日より開講いたします。

今期はご要望の多かった平日の夜開催(隔週木曜日・19:00~21:00)とな
り、お仕事の帰りにもお立ち寄りいただけるスケジュールでお待ちしており
ます。

もちろん、服装も自由でイスと机で行いますので、リラックスして本来の香
の心をお楽しみいただけます。ぜひお気軽にご参加ください!

詳細はWebサイトで:
聞香(お香)講座のご案内
http://www.jtco.or.jp/incense/?id=1


○o 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……


『風物使』第7号(2010年寒露号)を最後までお読みくださったみなさま、
誠にありがとうございました。

菊の本格的なシーズンは、まさに重陽の節供のころ(今年は10月16日)以降
で、まだ少し早いのですが、今号はあえて菊尽くしにしてみました。

菊と言えば、仏前にお供えする花というイメージが強かったのですが、品種
も多様で鑑賞用はもちろん、薬用にも食用にも使え、いろいろな用途で楽し
める花なのだと改めて感じました。

「キク」と名前はついていなくても、春のタンポポや夏のヒマワリもキク科
の花なのだそうです。実は1年中、キクを楽しんでいるのかも知れませんね。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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