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JTCOメルマガ『風物使』

2018年08月03日 配信
「沢瀉が吉祥運ぶ」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立秋号

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 「沢瀉が吉祥運ぶ」~ 季節の使い・JTCO『風物使』立秋号
    vol.116 2018年8月3日発行(旧暦 6月22日・水無月)

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拝啓

暦の上ではまもなく立秋。
連日の酷暑に「『秋』なんてまだまだ先…。」と、ちょっと遠い目になってし
まいそうな毎日ですが、例年であれば気温は高くとも、吹く風に時折涼しい秋
の気配を感じるころです。

筆者は最近、小学生の頃の夏休みの宿題に「毎日の気温をつける」というも
のがあったのをよく思い出します。
その頃には暑い日でも31~32℃ほど。それも夏休みの間に2、3日あるかどうか
だったように記憶しているのですが…。

地球の状態は確実に変化していますね。
じりじりと輝く太陽に「早く秋が来ないかな」と願いつつ、今からでも私たち
にできることを、一つずつ探して取り組んでいかなければならないのでしょう。


+‥‥+ 2018年立秋号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・今号のテーマ………   【植物】武将に愛された勝ち草:オモダカ
 ・季節の行事…………   熊野神社稚児舞 [富山市]
 ・和遊苑 おすすめの一品 【姫革細工】メガネケース 新色登場!
 ・JTCOからのお知らせ   【催事】歌舞伎座木挽町広場にて開催中!
 ・編集後記



,:* 今 号 の テ ー マ ━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥

【植物】武将に愛された勝ち草:オモダカ(面高/沢瀉)

「子息の小次郎直家は、面高を一入摺つたる直垂に、伏縄目(ふしなわめ)の
鎧着て、西楼(せいろう)と言ふ白月毛なる馬にぞ乗つたりける。」
(『平家物語』一二之懸)

訳:子の小次郎直家(熊谷直家)は、おもだかをひときわ染め出した直垂に、
伏縄目(ふしなわめ=白・浅葱(あさぎ=セルリアンブルー)・紺の緒などを
用い、縄目のような斜線文様で威したもの)の鎧を着て、西楼(せいろう)と
言う白月毛(クリーム色)の馬に乗っていた。

稀に見る酷暑の中、心なしかセミたちもひときわ元気に鳴きつく今年の夏、ひ
と時の涼を求めて夕涼みに水辺に出かけられた方もいらっしゃるでしょう。夏
の水辺に慎ましく咲く小さな白い花を見つけたら、それはオモダカという植物
かもしれません。

オモダカは今でこそ顧みられることも少なくなりましたが、三方に伸びる鏃
(やじり)のような形の葉が特徴的で、奈良時代からすでに文様として使われ
ていた、日本人にはゆかりの深い植物です。「オモダカ(面高、または沢
瀉)」という名の由来ははっきりしませんが、中国語で湿地を意味する「涵澤
(オムダク)」から来ているという説があります。

家紋としては、平安末期に公家の久我(こが)家のしるしとして使われていた
ことが『餝抄』(かざりしょう、13世紀の公家装束の故実書)に記されていま
す。その後武士の世の中になると、その葉の鏃のような形状が武将の好むとこ
ろとなり、「勝軍草」(かちいくさぐさ)と呼ばれて、直垂や鎧の縅(おど
し)の模様とされたり、さまざまな意匠で武家の家紋にあしらわれたりするよ
うになりました。

鎌倉時代以降の軍記物には、出陣する武将たちの、美しい出で立ちを描写した
記述が多く見られます。冒頭の『平家物語』の一節には、若い武将の直垂にた
くさんのオモダカが染め出された様子が描かれていましたね。『平治物語』で
は、やはり若い武将の鎧に、沢瀉縅(おもだかおどし=オモダカのように上が
狭く下が広く、三角形に縅で模様を描き出したもの)があしらわれている様子
が描写されています。戦に送り出すわが子の武運を願う、せめてもの親心が表
れているのでしょうか。

「次男中宮大夫進朝長は十六歳、朽葉のひたゝれに、沢潟とて、沢おどしにし
たる重代のよろひに、星白の甲を着、うすみどりといふたちをはき、しら篦に
白鳥の羽にて作だる矢負、所藤の弓もって、あしげなる馬に白覆輪のくらをい
て、兄の馬にひっそへてこそ立たりけれ。」
(『平治物語』源氏勢汰への事 )

訳:十六歳の次男中宮大夫進朝長は、朽ち葉色(くすんだ黄色)の直垂に、沢
瀉縅の先祖伝来の鎧と星白(銀で作った星)の兜を着け、薄緑と言う太刀を佩
(は)き、白箆(しらの=焦がしや塗りなどの入っていない、磨いたままの
竹)に仕上げた竹に白鳥の羽で作った矢を背に、所籐(ところどう=所々籐で
巻いた)の弓を手にして、葦毛の馬に白覆輪(しろふくりん=銀の縁取り)の
鞍を置き、兄義平の馬に並んで立っていた。

沢瀉紋(おもだかもん)は、毛利氏や豊臣姓を朝廷から賜る前の羽柴(木下)
氏、家康の生母の実家である水野氏など、有力な大名の紋に採用されました。
出陣の際、オモダカにトンボが止まったのを目にした若き毛利元就は、「勝ち
草に勝ち虫、勝利は疑いなし」と全軍を率いて大勝し、それを記念して沢瀉を
替え紋(副紋)としたと伝えられています。

さて、その葉が勝ち草として武将に愛されたオモダカですが、おせち料理の具
としておなじみの「慈姑(クワイ)」はオモダカの栽培変種の塊茎を食用とし
たものです。クワイはでんぷん質が豊富でサツマイモと同等のカロリーがあり、
血圧を下げるカリウム、抗酸化作用のあるビタミンE、貧血を予防する銅や葉
酸を含みます。丸い塊の先に出る茎が「芽が出る」ことを連想させることから、
お正月の縁起物として食されるようになりました。

「あしひきの 山沢ゑぐを 摘みに行かむ 日だにも逢はせ 母は責むとも」
(『万葉集』2760)

訳: 山の沢に生えている回具(えぐ=黒グワイ、またはセリ、オモダカ)を
摘みに行きましょう。その日に都合をつけてあなたにお会いしたいのです。た
とえ母に責められたとしても。

現代日本で主に食されているのはほくほくとした食感が特徴の青クワイですが、
万葉の時代には上記の歌のように、山菜として自生する黒グワイが食されてい
たようです。お母さんの目を忍んで、涼しげな沢のほとりでクワイ摘みデート
なんて、現代でもやってみたくなりますね。二人の恋の芽は、無事に実を結ん
だのでしょうか?

地域によっては湿地も少なくなり、その白い花も小さくささやかなので、現代
では雑草として見過ごされがちなオモダカ。身近によく見かけるありふれた存
在ながら、古くから戦に勝つ、芽が出るなど吉祥を運んでくれると考えられて
きたこの植物に元気をもらいに、夏のひと時、水辺に出かけてみませんか。


【参考サイト】(2018年7月31日参照)

Wikipedia, オモダカ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%A2%E3%83%80%E3%82%AB

wikipedia, 沢瀉紋
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%A2%E7%80%89%E7%B4%8B

名字と家紋, 沢瀉・面高(おもだか)紋
http://www.harimaya.com/kamon/column/omodaka.html




,:* 季 節 の 行 事 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

【熊野神社稚児舞】[富山市](8月25日)

今日まで約300年の伝統を誇る熊野神社の秋の大祭です。
かつてこの地に悪疫が流行し、この土地の有力者が祭事を復興したところ退散
し、豊作にも恵まれたといいます。

稚児舞はこのときの祭事に由来し、拝殿正面に作られた仮舞台で、4人の稚児
が室町風の赤い衣装にみをつつみ、太鼓と笛の囃子で「鉾の舞」、「賀古の舞」、
「林歌の舞」など7種の舞を奉納します。

※ぴこねっと日本ねっ島より引用
http://www.piconet.co.jp/nippon-net/nippon.cgi/see/11287



,:* 和遊苑 おすすめの一品 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥……

【姫革細工】メガネケース/新柄「ルミエ」も登場!

今回は夏のお出掛けにぴったりなアイテムをご紹介!

希少な白くなめした牛革を贅沢に使った姫革のメガネケースは、口金が斜めに
開くタイプなので、スリムなフォルムでも出し入れスムーズ。バッグの中でも
かさばらず、お洒落にお持ちいただけますよ。

内径の幅が7cmあり、大きめのグラスにも◎ 華やかな文様が、サングラスやメ
ガネを取り出すたび気分をUP↑楽しくしてくれそうです。

商品詳細はオンラインショップで↓↓
http://wayouen.jp/?mode=cate&cbid=1691746&csid=0

NHK BSプレミアムでも紹介された「ルミエ」柄、8月より和遊苑にてお取扱い
開始しました!絶妙な色使いをぜひご覧ください↓↓
http://wayouen.jp/?mode=grp&gid=578424



,:* JTCOからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

*【催事】歌舞伎座木挽町広場  美しい日本のものづくり 歌舞伎座×伝統工芸*

銀座歌舞伎座木挽町広場では月替わりで毎日催事を開催中!

8月の出店は・・・

【1日~15日】 ひらがなアクセサリー「Hiragana」
【16日~31日】 伝統工芸品 [なにわべっ甲]の「エスプリ・マ」です!

Hiraganaでは、あなたのお名前や好きなことばを書家がひらがなでデザインし、
アクセサリーにお仕立ていたします。
下旬に出店のエスプリ・マからは、一つ一つ丁寧に細工をほどこした、艶やか
なべっ甲のアクセサリーをご案内。
すっと心が静まる様な、「和」の美しさを身にまとってみてはいかがでしょう。

今月も素敵な商品を多数ご用意して、皆様のお越しをお待ちしております!
ぜひ、あなただけの一品を見つけに、歌舞伎座木挽町広場まで足をお運びくださ
いませ。



,:* 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

長らくお休みをいただいておりました『風物使』の配信を今月より再開いたし
ます。お待ちいただいておりました皆さまには、大変恐縮に存じます。

日本全国真夏日でない地域を探すのが難しいような今年の猛暑、夜になっても
なかなか気温が下がらないので、夕涼みもままなりませんね。

クーラーに頼らざるを得ない毎日ですが、バケツや洗面器の水で手足を冷やす
という古典的な暑さ対策も有効なようです。なかなか体のほてりが取れないと
いう方は、ぜひお試しください。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

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