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JTCOメルマガ『風物使』

2010年07月05日 配信
「雨の向こうに星瞬く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小暑号

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 「雨の向こうに星瞬く」~ 季節の使い・JTCO『風物使』小暑号
     vol.2 2010年7月5日発行 (旧暦 5月24日・皐月)

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拝啓
梅雨空にもすっかり慣れた今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
数日前の都心部は、一時的な大雨のあと、日中の暑さの名残りか、息もでき
ないほどの蒸し暑い夜となりました。次号では「大暑」を迎えます。冷房に
頼るだけでなく、窓際にすだれを置いたり打ち水をしたりと、涼を取る暮ら
しの工夫もして行きたいですね。


+‥‥+ 2010年小暑号 目次 +‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

 ・季節の祭り…………… 多様な背景:『たなばた(七夕)』
 ・旬の味………………… 七夕との意外なつながり:『そうめん(素麺)』
 ・季節の花……………… 別名「牽牛花」とも:『アサガオ(朝顔)』
 ・JTCOからのお知らせ… 『聞香(お香)講座』残席わずか!
 ・編集後記


★。季 節 の 祭 り ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


多様な背景:『たなばた(七夕)』


「棚機の今夜あひなばつねのごと明日をへだてて年はながけむ」
大伴家持(万葉集 巻10-2080)

(七夕の今宵ふたりが逢うのは約束されているけれど、明日になればまた一年
離れ離れの時間を過ごさなければならないのですね。)

今年も五節句のひとつ、七夕の時期が近づいてきました。本来の七夕は、梅雨
が明けて天の川もきれいに見える旧暦の7月7日(2010年は8月16日)に行われ
る行事でした。このころには「上弦の月」といって、お月さまはちょうど半月
になります。一年に一度、彦星が天の川を渡って織姫に会いに行くときには、
この上弦の月に乗り込むと言われているので、必ずしも半月にならない今の暦
では、彦星は別の船を手配しているのでしょうね。

七夕という行事は、日本古来の神事や祖霊を迎えるお盆の準備、大陸から伝わ
った織姫・彦星の伝説や古代中国の行事など、さまざまな要素が結びついて始
まったものといわれています。

古代日本には、水辺に機小屋(棚機・たなばた)を建てて神の布を織る巫女
「棚機女(たなばたつめ)」がいました。今でも神社の神事では、聖域を4本
の笹竹で囲みますが、七夕に笹を立てるのも、かつて棚機が聖域であったこと
に由来しているのだそうです。旧暦の七夕はお盆(旧暦7月15日)の1週間前に
あたり、七夕のあとの笹飾りを海や川に流す地方もあるとのことですから、
先祖の霊を迎える前の禊(みそぎ)の意味が込められていたのでしょう。

平安時代には機織や裁縫、管絃や詩歌などの技芸の上達を願うための「乞巧奠
(きこうでん)」という宮中行事が行われるようになりました。これはもと
もと中国で行われていた行事で、現在の湖北省・湖南省にあたる地域の年中行
事記『荊楚歳時記』(宗懍著、6世紀)にも、日本の宮中同様、針に五色の糸
を通し、酒肴や瓜を供えて針仕事の上達を女性たちが願ったことが記されてい
るとのことです。織姫が機織に秀でていたことにちなんだ行事だったのでしょ
うね。

七夕の笹飾りが現在のような形になったのは江戸時代のことで、「五色の短冊
~」の歌にある五色は五行説にあてはめた緑・紅・黄・白・黒のことを指し
ます。五色の糸がいつから短冊になったのかはわかりませんが、当時は和歌を
したためて笹に懸けたのだそうです。

男女の逢瀬、身の清め、技芸の上達など時代を超えてさまざまな意味が込めら
れてきた七夕の夜。あなたは今年、星にどんな願いをかけますか。全国で行わ
れる七夕祭りにもぜひ、足を運んでみてください。今回は、少しユニークな七
夕祭りをご紹介します。


▼秋田県湯沢市
七夕絵どうろう祭り(8月5日~8月7日)
秋田藩佐竹南家に京都からおこし入れされた姫君が京への郷愁を五色の短冊に
託し青竹に飾りつけたのが始まりとされた、約300年の歴史ある祭り
(以下のURLより引用)
http://aios.city-yuzawa.jp/kanko/event01.htm

▼石川県珠洲市
宝立七夕キリコ祭り(8月7日)
高さ数メートルの巨大な灯籠(キリコ)が町中をねり歩くお祭りです。お天気
のよい年には、花火をバックにキリコの海中乱舞も見られます。
http://www.hot-ishikawa.jp/page/kiriko/11houryu.html


★。旬 の 味  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


七夕との意外なつながり:『そうめん(素麺)』


暑さに食欲の落ちる時期でも、つるつるっと冷たい素麺なら食欲をそそるもの
です。いまはすっかり夏の主食としておなじみですが、もとは「索餅(さくべ
い)」という中国伝来のお菓子だったといわれています。

「索餅」とは、「小麦製品(=「餅」)」を両手で縒り合わせたもの(=
「索」)という意味で、唐菓子としてはもち米と小麦粉を細長く延ばしたもの
を2本、縄のようにより合わせて油で揚げたものだったということですから、
今で言うツイストドーナツのようなものだったのかもしれませんね。古代中国
では、この「索餅」を7月7日に食べると「瘧病(ぎゃくびょう、もしくはわら
はやみ)=マラリア熱のような病気)」を払うという言い伝えがあり、平安
時代の日本でもこれに倣って七夕に行われた「乞巧奠(きこうでん)」の行事
に索餅が採り入れられていました。

索餅は、和名を「麦縄(むぎなは)」といい、日本では米粉と小麦粉を細長く
延ばして縒り合わせたものを干し、蒸したり茹でたりしたものに調味料をつけ
て食べたと考えられています。

中国では宋代(10~13世紀)の文献に、「索麺」という名称で油を使って麺を
細く長く延ばしていくという日本の手延べ素麺と似たような麺の製法が記され
ており、これが日本の南北朝時代(中国では元の時代)に伝わったとも言われ
ます。南北朝時代の文献には「索餅」「索麺」「素麺」という3種類の表記が
見られ、その後「素麺」という名称が定着していったようです。

日本のそうめんがいまの形になったのは室町時代とのことですが、当時の食べ
方は茹でた麺をさらに蒸して温かくして食べたということですから、今のよう
に涼感を呼ぶ夏の風物詩というわけではなかったのでしょう。ですがこの時代
に書かれた「梶の葉に盛った索麺は七夕の風流」という文章を見ると、古来か
らの七夕とそうめんのつながりが、当時も受け継がれていたことがわかります。

時代は下って江戸時代には、細長い素麺を糸に見立て、裁縫の上達を祈願して
七夕のお供え物とする習慣もあったそうです。技芸の上達を記念した七夕と、
七夕の食べ物であったそうめんがうまく結びついた形ですね。

今ではそうめんの食べ方も多様化していますが、シンプルに冷やしてつゆで食
べるのもよし、バリエーションを楽しむのもよし。今回は、鹿児島の郷土料理、
スタミナもつく「油そうめん」をご紹介します。

▼油そうめん(鹿児島県)
http://www.piconet.co.jp/magazine/recipe/192.html



★。季 節 の 花 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


別名「牽牛花」とも:『アサガオ(朝顔)』

「その主とすみかと無常を争ふさま、いはばあさがほの露に異ならず。或は露
落ちて、花残れり。残るといへども、朝日に枯れぬ。或は花しぼみて、露なお
消えず。消えずといへども、夕を待つ事なし」鴨長明『方丈記』

(人もその住処も、朝顔の花やそこに宿る露のごとくはかないものである。露
が残って花が残ることもあれば、花がしぼんで露が残ることもある。だがどち
らが先でもいずれは消え去る運命なのだ。)

今では「アサガオ」といえば、軒下に蔓を絡めて咲くラッパ型の花を指します
が、古くは朝に咲く花を「あさがほ」と呼び、万葉期の「朝貌の花」はキキョ
ウ、源氏物語の「朝顔の君」は、「槿の姫君」とも言われることから、平安期
のアサガオは韓国の国花にもなっている「槿(ムクゲ)」と考えられています。

冒頭の『方丈記』は、鎌倉時代初期に成立した作品ですが、アサガオは鎌倉時
代以降、観賞用として栽培されていたとのことですので、このころの「あさが
ほ」はすでに私たちの考えるアサガオと同種のものだったのでしょうか。

アサガオの種は日本には奈良時代に漢方薬として伝わったといわれています。
漢方ではアサガオの種は「牽牛子(けんごし)」と呼ばれますが、これはこの
薬が古代中国で非常に高価なものだったため、贈られた者は牛を牽いてお礼に
行ったという故事に基づいています。

このことから、日本ではアサガオを「牽牛花」とも呼び、転じて江戸時代には
「朝顔姫(=織姫)」とも呼ばれるようになりました。ちょうど七夕のころに
咲くことから、二人の逢瀬にあやかった縁起物とされたそうです。アサガオの
鉢植えが一般の庶民に売られるようになったのは江戸時代以降で、幕末から明
治にかけて東京・入谷のアサガオが有名になり、この流れで今も続く「朝顔
市」が開かれるようになったということです。

朝に咲き昼にはしぼむことから、はかなさの表現にも使われたアサガオですが、
さわやかな花色は涼の欲しい夏にぴったりですね。庭先やベランダで気軽に花
を咲かせたり、珍しい品種の鉢植えを見つけたりと、お好きな方法で楽しんで
みてください。

▼入谷朝顔まつり(朝顔市)公式ホームページ
http://www.kimcom.jp/asagao/



★。お 知 ら せ ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

『聞香(お香)講座』開講中!

2010年6月12日(土)より始まった聞香講座も、次回は3回目となります。毎回
香の生い立ちや本来の心とともに、異なる趣向の香の聞き方を楽しめます。
あと2名ほどご参加いただけますので、お気軽にお出かけください。

第3回目講座テーマ:
主題:「組香の美学」(香りと文学)
副題:「中世乱世の芸道と香の心」

日 時: 平成22年7月10日(土曜日)午後1:00~3:30までの2.5時間
会 費: 1回 3,000円
会 場: 港区愛宕1丁目3-2 当会会議室(12時50分までにお集まりくだ
さい)

▼オンライン申込み
https://www.ssl-im2.com/jtco/incense_form/?id=4



★。編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

『風物使』第2号を最後までお読みくださったみなさま、誠にありがとうござ
いました。

今号は、旧暦にはまだ早いな、思いながらも「七夕」について書き始めたとこ
ろ、図らずも「そうめん」も「アサガオ」も七夕につながることになりました。
どれもこの時期の風物詩ですから、長い時間の中で自然とそうなっていったの
かもしれませんね。どんなことにも「願い」や「意味」を込めようとする昔の
人のこころを、垣間見たような気がしました。

来週は、土佐和紙関連の取材に高知を訪問します。伝統工芸の今後につながる
発見ができればと思います。Webにもアップしたいと思いますので、お楽しみ
に。


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【季節の使い・JTCO『風物使』】

発 行 日:月2回発行(二十四節気ごと)
発行開始日:2010年6月18日

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【発行元】

特定非営利活動法人 日本伝統文化振興機構(JTCO)
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-2-1401
TEL/FAX: 03-3431-5030
Webサイト: http://www.jtco.or.jp/

※本メールは「MSゴシック」などの等幅フォントで最適に表示されます。

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