NPO法人日本伝統文化振興機構は、日本の伝統文化の継承・創造・発展のための活動を行っております。

JTCO日本伝統文化振興機構
日本語 | English
JTCO: Japanese Traditional Culture Promotion & Development Organaization
コラムバックNo一覧

 2017年
 2016年
 2015年
 2014年
 2013年
 2012年
 2011年
 2010年

人助けのこころ

2014/07/10
人助けのこころ


平安京で路頭に迷った病人や孤児らの救済施設「施薬(せやく)院」「悲田(ひでん)院」の名が記された平安前期(9世紀前半)の木簡が、文献上で施設があったとされる付近の京都市南区の平安京跡(左京九条三坊十町)から見つかった。平安時代の両施設に関して記述された木簡が出土するのは初めて。諸国から集められた薬などの荷札の他、「死亡報告書」とも言える木簡もあり、平安時代の困窮した市民の救済活動を表す史料だ。

引用 ― 平安京跡:「施薬院」木簡が出土 窮民救済活動示す(平安京跡:「施薬院」木簡が出土 窮民救済活動示す)




日本人が世界へ誇れる「精神」の一つに、「人助けのこころ」があるように思います。工芸品のように、姿かたちはありませんが、昔から伝統として受け継がれてきている部分ではないでしょうか。
何千年も前の平安時代にも、それは存在していたのだと、この記事を読んで感銘を受けました。

最近、若者の公共の場でのマナー違反などが騒がれています。確かに、「伝統的な日本人の精神」からは、考えられないような事例もあります。しかし、本当に全ての若者のマナーが悪いと言い切れるでしょうか。
先日、郵便局の前で、1人の女性がポストに投函するための郵便物を、落としてしまって道路にばらまいていました。目の前でそれを目撃した私は、郵便物を拾うのを手伝いました。しかし、何人もの人が行きかう中、他には誰も手を貸してくれませんでした。「やはり、助け合いの精神というものは薄れてしまったのかな」と思いながら手紙を拾っていると、自転車で通りかかった一人の男性が、笑顔で、「大丈夫ですか」と声をかけながら、拾うのを手伝ってくださいました。
私は、目の前で起こった出来事であったために、反射的に手伝っていた部分があったのかもしれませんが、この男性は、わざわざ自転車を止めて、手伝ってくださいました。おそらく、困っている人を見て、助けようと思ったからでしょう。「人助けのこころ」は、このようなことをいうのではないのかと、気付かされた出来事でした。

「困った人がいたら助けよう」とあたりまえのように言われていますが、実際、自分はどれだけ純粋な「人助けのこころ」で、それを実行できていましょうか。「やるよりやらないほうがいい」という意見もきっとありますが、「なんとなく」でやっていても、それは「人助けのこころ」といえるのでしょうか。
「こころをこめて人助け」と、頭の中で思っても、実行するのが意外と難しいものです。ですが、行動そのものよりも、こころの部分が大事なもののように思えます。

そもそも、施薬院とは、光明皇后が奈良時代に創設された、いわば福祉施設のはしりのようなものです。
当時の平安京といえば、約4万体もの亡骸が市街に散乱し、病人たちは見捨てられ川へ捨てられる、人身売買が行われるなど、まさに地獄絵図のような光景が、広がっていたそうです。庶民は生活らしい生活を送るのも、やっとだったのではないでしょうか。
そんな、誰もが「生」に必死にしがみついている世の中で、この施薬院は、まさに天国のような施設ではなかったのではないでしょうか。
慈悲の思想に基づき、薬草などを貧民に施していた施薬院は、まさに「こころのこもった人助け」を行っていたのではないでしょうか。

出土品から、もう一度日本人の「精神」を見つめ直すと同時に、自分の行いを考えてみるのもいいかもしれません。


2014/07/10 kan


2017年母の日特集メルマガ会員募集郷土料理全国伝統工芸品フォトギャラリー掲載協力団体、企業一覧英語翻訳ボランティア募集歴史レポーターボランティア募集歌舞伎座木挽町広場催事出展者募集JTCO@Facebook